仏教の目的を一言でいうと
【悟りを開く】
ということですね。
日本にある大乗仏教各宗派
そして、原始仏教が目指す『悟り』
とは何なのか一言でまとめてみます。
目次
上座部仏教
スマナサーラ長老の活躍や
近代に入ってからの
故、中村元先生を始めとした仏教学者の先生方のお陰で
私達も比較的簡単に原始仏教の教えに触れることが出来るようになりました。
原始仏教
目的
阿羅漢となり輪廻から解脱すること
インドでは
六道(あるいは五道)を輪廻するという認識があります。
(輪廻とは死んでも生まれ変わりを繰り返すという考えで
同じ人間に生まれ変わるわけではなく
地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天の6つの世界のどれかに生まれ変わると考えます)
お釈迦さんはこの世は苦しみであるといい
この苦しみから脱する為に
輪廻のサイクルから解脱する方法をときました。
修行方法
出家し瞑想する事で煩悩を滅する
輪廻の原動力は業(カルマ)である
業は煩悩によって生じる
なので、煩悩を滅するために修行をします。
お釈迦さんの基本的な教えとしては
一切は苦しみである
苦しみには原因がある→それは煩悩である
煩悩を(苦しみの原因)を滅することで苦しみは消える
滅する方法には八つ修行方法がある
というものがあります。
■八正道
八つの修行方法を八正道といいます
正見(しょうけん) 正しい見解
正思惟(しょうしゆい) 論理的思考
正語(しょうご) 言葉
正業(しょうごう) 行い
正命(しょうみょう) 生活
正精進(しょうしょうじん) 修行
正念(しょうねん) 頭においていること 念頭に置いている
正定(しょうじょう) 瞑想
正しいは仏教的に正しいということ。
一切皆苦
諸行無常
諸法無我といった見方を正しくすることで
煩悩から離れて行きます。
■煩悩とは何か?
煩悩と一口にいっても捉えづらいものですよね
三毒という風に分けると理解がしやすくなります。
三毒は貪・瞋・痴(どん、じん、ち)と言われます。
貪→貪欲(とんよく)=必要以上に求める心
瞋→瞋恚(しんに)=怒り、自分から遠ざけようとする心
痴=無明 明かりが無い状態、つまり 仏教の心理を知らない。
大乗仏教
時代が下り
在家でも悟れる、救われる方法があるという
考えが支持されるようになり
次第に悟りの内容も修行方法も変容していきます。
日本に入っている仏教は基本的に大乗仏教と呼ばれる仏教です。
般若経典による教え
目的
菩薩から仏陀になる
(阿羅漢ではなく仏陀というところがポイントなんです)
修行方法
善業を修する
利他行、仏の供養、般若の呪文を唱える善業を回向することで
成仏するための修行になる。
もっと噛み砕くと
良いことしましょう
仏さんにお供えして礼拝して供養しましょう
呪文をとなえましょう
そうすることで善業ポイントがたまり
それが回向されて成仏の為のポイントがたまり
いつかお釈迦さんと同じように悟れますよ
ということ。
まず大前提として
私達は菩薩であるという事があります。
菩薩とは、過去世に仏陀と会い、誓願をたて授記された事でなります。
■誓願と授記
誓願と授記というとややこしいですが
「仏陀のようになりたいです!」(=誓願 せいがん)
「大丈夫、あなたらいずれ仏陀になれますよ♪」(=授記 じゅき)
と仏陀からお墨付きをもらったことで菩薩となったよ
ということです。
なぜ、過去世で菩薩になったとわかるか?
仏教の教えに触れてもし自分の心が震えたなら
既に菩薩になっているという事だよと分かります。
自分が菩薩であることを理解する
利他行→大乗仏教での利他行は自己犠牲も含む他者への貢献
般若の呪文
仏を供養する
こういった修行を行う。
ちなみに今世で仏陀になれるわけではない。
うんと長い時間生まれ変わってやっと仏陀になる。
法華経
目的
成仏する
修行方法
法華経を信じて拡めて、供養する
【特徴】
般若経典では菩薩乗
つまり、大乗仏教を信じている者のみが仏陀になれるとするが
法華経は
三乗成仏といって
声聞・縁覚
など小乗の教えを奉ずるものも救われると説く
方法はこの法華経を信じ、拡めるのみ。
浄土教
浄土宗や浄土真宗など
目的
仏国土に生まれ変わる
修行方法
阿弥陀さんにすがる為に
念仏を唱える
【特徴】
仏陀はこの世界に一人しかいない
浄土教が流行した時代は末法の時代と言われる
日本では1052年から末法の時代に入ったとされている
末法は仏がいない時代の事
いくら生まれ変わっても仏に会えない
絶望感を持つ。
そこで
阿弥陀さんの治める西方極楽浄土というパラレルワールドをこしらえる
阿弥陀さんにすがり西方極楽浄土という仏国土に生まれ変わる
そこで仏陀になるための修行をしよう!
という、つもりだったか極楽浄土がすばらしすぎて
いつしか、極楽浄土に赴くことが目的になる
華厳経
華厳経には特徴的な
悟りへの方法が説かれていない
「一即多、多即一」
など仏教的に重要な思想は数多い
鎮護国家と仏教研究が主な役割で
当時の僧侶は今でいう公務員といえます
現在も
奈良仏教の南都六宗は葬儀などをしない
南都六宗の僧侶はそれを誇りとしている所があります。
密教系
目的
即身成仏
修行方法
三密加持によって
自身の仏と同一になる
【特徴】
如来蔵という思想
心にすでに仏陀になる為の種をもっている
という考え
もはや、ヒンズー教の梵我一如と思想的な差別化は難しい。
大乗仏教の目指す成仏が何度も気の遠くなるような長い時間
生まれ変わりを繰り返し、修行を続けで成仏を目指すところ
今、この瞬間から
身三口四意三を仏と同化して
三密加持することで仏になれる
とする点に特徴があります
さらに密教は
呪術を盛大に取り入れ
この瞬間に三密加持によって仏の力を具現化し
息災を祈ったりといった
現世利益を実現することに重きを置いています
日本全国に弘法大師空海の伝説が数多く残っていることからも
いかに現世を救う事に重きを置いていたかがよくわかります。
禅宗
臨済宗、曹洞宗、黄檗宗
目的
自分の中の仏性に気付く事が悟りへの道
修行方法
座禅により自らの仏性に気付く
一言でまとめると
目指す悟りの違いを一言でまとめると
原始の釈迦仏教と目指す悟り→阿羅漢になり解脱する事
大乗仏教の目指す悟り→菩薩から善業を積み成仏する事
原始仏教が阿羅漢を目指すところ
大乗仏教では釈迦と同じ成仏を目指す所が大きな違いです。
大乗仏教の宗派はいずれも利他行と先祖供養という部分でつながっています。
求める悟りの内容や修行方法は大乗仏教の各宗派で様々で興味深いですね。
実際の所、利他行を重視する事と、ご先祖様を供養するということは共通しています。
利他行というのは他を利する行いの事で、噛み砕くと
「人を助けよう」
です。
先祖供養は
故人を通し、連綿と繋がるご先祖様に感謝と冥福、成仏を祈る行いです。
これは一族の繁栄の土台となり、個人にとっても縁起や諸行無常に思いを馳せ仏教の真理に近づく修行にもなります。
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